熱血!茨城県庁職員スペシャルトーク

熱意と行動力が旅行会社と
FDAを動かした!
年間チャーター便80便、
4,500人以上の搭乗者数を獲得

ドラマ「半沢直樹」のロケ地にもなり、注目を集めている茨城空港。
もともと防衛省・航空自衛隊が管理・運営していた「百里飛行場」に、茨城県が民間空港としての共用化を進め、2010年3月、国内98番目の空港として開港。国が新規空港建設を抑制していることから「国内最後の空港」といわれています。

FDAは、2016年度から茨城チャーター便を運航。初年度は8便からスタートし、2019年度には年間80便、搭乗者数は4,678人と実績を伸ばしてきました。そんな茨城チャーター便実績の裏には、茨城県庁職員の方々の熱い思いとさまざまな努力が…。今回は、茨城チャーター便陰の立役者、3人の茨城県庁職員の方々に、話をお聞きしました。

2016~2017年度担当飯塚さん
(写真左/通称:アニー)、
2017~2018年度担当平野さん
(写真右/通称:ダニー)、
2019年度担当高野さん
(写真中央/通称:マイマイ)

伝わった熱意!
わずか3カ月で
チャーター便を実現!

茨城空港は2010年3月の開港時には、定期便はアシアナ航空のソウル便のみで、国内線は4月にスカイマークの神戸便が就航という多難な船出でした。チャーター便も2010年は開港記念ということもあり、運航本数もそこそこありましたが、翌年以降のチャーター便は年間数本と苦戦。空港対策課は、頭を抱えていました。

そんな時、旅行会社の方からFDAがチャーター便に力を入れていることを聞きました。「茨城空港でもチャーター便を飛ばせるかも」その言葉に希望の光を感じ、FDAチャーター事業部の山田部長を紹介してもらいました。

それが、2016年3月。年度末の多忙な時期ではあったのですが、上司と二人、スケジュールを調整して会いに行きました。そして、茨城空港のこれまでの苦悩と、自分たちの思いをぶつけたんです。

茨城空港は羽田、成田からほど近い空港であるため、FDAさんとしては懐疑的だったと思いますが、私たちの情熱を信じていただき、それからわずか3カ月後の6月に、茨城―稚内チャーター便を実現することに!企画から発売までの期間は、たったの2カ月間。FDAチャーターにおいても、こんな短期間でチャーター便を実施したのは、茨城―稚内チャーター便以外、他にはないそうです。

2016年6月、茨城チャーター便初運航

酸味と甘味のバランスが絶妙の濃厚「おみたまヨーグルト」と、つぶあんたっぷりの人気商品「茨城空港どら焼き」

茨城県と空港がある小美玉市は一丸となって、それぞれのご当地キャラクターとともにFDAの飛行機をお出迎えし、エプロン(駐機場)で機長への花束贈呈セレモニーのほか、出発されるお客様全員に小美玉市の名物「おみたまヨーグルト」と地元和菓子店が作る空港名物「茨城空港どら焼き」を県と市の職員が手渡しでプレゼントさせていただきました。

このチャーター初便以来、茨城県と小美玉市はタッグを組んで、毎回、職員によるお見送り、お出迎え、お客様へのプレゼントを続けています。

県庁から空港までは、約40分あるのですが、朝早い出発便だったり、夜遅い戻りの便だったりしても必ずお客様をお見送り、お出迎えさせていただいています。FDAさんには、そのことを高く評価いただいているようです。

チャーター便の実績を
積み上げるために
やれることは何でもやる!

チャーター便を企画するのは、旅行会社です。なので、旅行会社に“茨城は売れない儲からない”と思われてしまうと企画してもらえません。満席近くになるまで席が売れ、“茨城チャーター便は儲かる”という実績を継続的に作ることが、旅行会社への信頼と実績につながり、多くのチャーター便を企画してもらえることに。そして、そのチャーター便実績の積み上げが、定期便就航につながる―。
そんな思いで茨城県としては、地元の方に利用してもらうアウトバウンドに力を入れています。

県独自でチャーター便の販売チラシを制作し、駅で配布

販売用ポスターやチラシを制作し、さまざまなイベントなどにも出展してチャーター便をPR

チャーター便をより多くの人に知ってもらい、利用してもらうため、自分たちがやれることは何でもやろうという思いで取り組みました。県独自でチャーター便の販売チラシを制作し、駅でチラシ配りを行ったり…。配布する前日にプレスリリースを打ち、メディアでチラシ配りを取り上げてもらいつつ、チャーター便の告知をしてもらったりなどなど。
このような努力の甲斐もあり、初年度から夏は稚内、冬は久米島・宮古島と、合計8便が運航されました。

2017年、目玉企画が誕生!

HISさんが2017年~2018年の年末年始に、全国から長崎に飛ばす一大イベントを企画されたんです。その企画で、HISさん初の茨城発国内チャーター便を実施していただくことになりました。初めてのHISさんとの企画で、初めての茨城―長崎チャーター便ということもあり、何か盛り上げられたら、と思いました。

普段のチャーター便だと年配の方が多いけど、年末年始なので家族が増える。また、長崎まで遠いのでフライト時間が長い。そこで、家族を取り込んだ楽しい機内イベントをしたいとFDAの山田部長に話を持ちかけたところ、FDAさんの方でも柔軟な対応ができるチャーター便の特性を生かして、機内で何かエンターテイメント性のあることをやりたいと思ってらっしゃるところだったようで、両者の思惑が合致。二つ返事でOKをもらいました。

イベントを企画するにあたり、茨城空港の国内線の定期便はスカイマークしか飛んでいないので、FDAのことを知らない人が多いことに着目。「FDAという会社をPRしよう、そうだFDAはカラフルな機体の色が特徴だ!」と閃きました。

機体の色を使って何かできないかと、いろいろ探していたときに、地元の農産物を使用し、FDAの機体と同じ10色のマカロンを作っている地元の菓子店を偶然見つけたんです。すぐに、これはイケる!と。早速、菓子店に協力を依頼して、マカロンを使った機内イベントを企画することにしました。

マカロンと長崎市から提供してもらった観光冊子やノベルティなどをセットにしてプレゼント

チャーター便で長崎を旅行される皆さんに、長崎を満喫していただきたいと思い、空港対策課の利用促進グループと一緒に事前に長崎に情報収集にも行きました。長崎市から観光冊子やノベルティを提供してもらい、さらにチャーター便利用者限定の割引券も特別に作ってもらいました。それらとマカロンを袋にセットして機内イベントのツールは完成。

機内アナウンスで、イベントを進行

FAさんに協力してもらい、フライト中に10色のマカロンがランダムに入った袋を一人1袋ずつ配布。配り終えたのを見計らって私が登場し、機内アナウンスを使って、イベントスタート!まずは、事前調査した長崎の観光情報をPRし、その後、今乗っている機体と同じ色のグリーンのマカロンが入っている方に、オリジナルデザインのブランケットをプレゼント。また、運航部のご理解もあって、1月1日の出発便には、縁起の良いゴールドの機体を回していただきました

機内イベントの様子

プレゼントしたブランケット

ブランケットはFDAの広報の方にデザインしていただき、FDAと茨城県とで協同で作り上げたオリジナル企画となりました。この企画が大当たりで、機内は大いに盛り上がりました。アンケートでは、「機内イベントは新鮮」「観光バスのようで楽しかった」「飛行機に乗っていてこんなに楽しい時間は初めて」「今後も楽しい企画をやって欲しい」など、たくさんの感想をいただきました。

私も一度、同乗したことがあるのですが、すごく喜ばれて、盛り上がっていて。これを企画した平野はすごいな、と思いました。

空港対策課職員による、黄色いスタッフジャンバーを着ての機内マカロンイベントは初運航の恒例に

今では、初めての旅行会社や初運航となるチャーター便には、特別感を持っていただきたいと、職員による機内マカロンイベントは恒例となっています。課長自らが黄色のスタッフジャンバーを着て、イベントを実施することもありますよ。

課長には、本当に申し訳なく思ってます(笑)。

2年後には
チャーター便運航年間便数60便に!

2017年から始めた機内マカロンイベントが功を奏し、そして初めての旅行会社にも私たちの熱意が伝わり、2018年度は一気に年間60便に増え、搭乗者数は3,500人超えという快挙。
2018年度は、空港全体の利用者が過去最高を更新しました。FDAのチャーター便の増もそれに貢献したとして、我々は県知事から「職員表彰」をいただくことができました。

茨城空港発着チャーター便の運航実績

運航先も、全国津々浦々に広がりました。ここまで来たら私もちょっと欲が出まして、「こうなったら、全国に飛ばしたい」と思うようになり、営業活動に力を注ぎました。そして、現在は21の空港に運航実績ができ、関東地区以外の地区はコンプリートしました。

東北地区の花巻空港へは、FDAさんから片道利用の提案があり、行きはFDA、帰りは新幹線という面白いツアーを作りました。前々から、旅行会社の方が「いつか東北をやってみたい」と話をしていたんです。そこで、片道だけど売れるかどうかダメ元で作ってみたところ、これが売れたんです。茨城からは意外と行きにくい東北を実験的に売ってみて、近いけど意外と行きにくい土地への需要があることが分かりました。

旅行会社の方も一緒に、みんなでエプロンからお見送り

その他にも、毎回、横断幕を持ってご当地キャラクターたちとのお見送りは大きいと思います。何と言っても、旅行会社の方も一緒にエプロン(駐機場)に出て、最後までお見送りができ、お客様と触れ合える。そんなことはなかなかできないと思うんです。それが、茨城空港はできる。それも旅行会社に大きく評価いただき、チャーター便を企画してもらえているのだと思います。

三位一体の茨城チャーター便体勢を
4年間で確立

4年目の2019年度になると、先輩たちが築き上げてこられたベースがあったので、毎週のようにチャーター便が企画され、お見送りとお出迎えで、週に3~4回空港に行くこともありました。空港の方から「また来たの」と言われるくらい(笑)朝から空港でお見送りをして出勤する日もあります。

チャーター便ごとに県独自で制作する
販売促進用のチラシ

ベースがあるからこそ、旅行会社への販売フォローは手を抜きません。しかし、販売をフォローするためには茨城空港のホームページを更新したり、メルマガを流したり、チラシやポスターを作ったり、イベントなどでPRをする空港対策課の利用促進グループの協力が必要です。

私はFDAのチャーター便の担当になる前は、その利用促進グループでホームページの更新などを担当していました。現在は、チャーター便が決まったらチラシを作ってもらったり、イベントに一緒に出展するなどして連携してPRを行っています。

また、チャーター便が発売されると、毎週のように旅行会社に連絡をして販売状況を確認し、前年度の売れ行きと比較しながら、売れ行きが伸び悩んでいる便には、利用促進グループにメルマガを打ってもらったり、駅などのデジタルサイネージを活用してもらったりと、PR協力を依頼し販売をフォロー。
約3万人の茨城空港のメルマガ会員にメルマガを打つと、伸び悩んでいる便でもある一定数は売れるので、旅行会社の方から喜ばれるんです。

4年間で、FDA、旅行会社、県との三位一体の体勢が確立され、2019年度には年間80便の実績を上げることができました。

幻となった
茨城空港開港10周年
記念チャーター便

茨城空港開港10周年記念チャーター便

今年3月で、茨城空港は開港10周年を迎えました。それを記念し、FDAさん、旅行会社さん、県が協力し、茨城ー静岡の日帰りチャーター便を企画しました。FDAさん全面協力のもと、静岡空港近くにある、普段は非公開のFDAトレーニングセンターの特別見学を盛り込んだスペシャルツアーは、ほぼ満席でキャンセルも出ないくらいの人気でした。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で止む無く中止することに。幻の企画となりました。旅行会社の方と一緒に企画した渾身のツアー。お客様もとても心待ちにされていたので、新型コロナウイルス感染症が落ち着いたらぜひ、実現したいですね。

今はコロナ禍でチャーター便の企画はできない状況にありますが、再開できるようになったら、多くの皆さんに楽しんでいただけるチャーター便を、FDAさん、旅行会社さんとともに、企画していきたいと思います。私たちの挑戦は、これからもまだまだ続きます。