徳島でお世話になっている旅行会社のエアトラベル徳島様より「徳島-福島の双方向チャーターを実施していただけないか?」というご要望をいただきました。我々も恥ずかしながら徳島と福島のつながりを理解していなかったため、詳しくお話を聞かせていただきました。

今では年末の風物詩になったベートーヴェン作曲の「第九」ですが、日本で最初に演奏されたのはどこかご存知の方は少ないのではないかと思います。実は1918年6月に徳島県板東町(現在の鳴門市)にあった板東俘虜収容所でドイツ兵捕虜により演奏されたのが日本での初演と言われています。

その収容所の所長が福島県の会津若松出身で後に福島県若松市長(現在の会津若松市)を務めた松江豊寿氏という方でした。

第一次世界大戦の戦いに敗れたドイツ兵4,700人が捕虜として日本各地の収容所に送られました。捕虜たちは過酷な収容所生活に不安を募らせていましたが、板東俘虜収容所では所長である松江氏が陸軍上層部の意向に背いてまで、捕虜たちの人権を尊重し、寛容な待遇をもって接していました。そのため捕虜達は言語・習慣・文化の異なる地域住民の温かさに触れ、収容所生活の中で生きる喜びを見出していきます。

休戦条約の調印の後、大ドイツ帝国は崩壊しますが、自由を宣告された捕虜達は松江氏や所員に感謝を込めて、この「第九」を演奏したという逸話が残っています。このエピソードは2006年に「バルトの楽園」というタイトルで映画化もされています。

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徳島、福島両県の皆様はこのご縁を大事にされており、「第九がつなぐ絆の翼」として2017年4月よりチャーター便を開始し、現在も双方向のチャーター便を定期的に運航させていただいています。2018年9月には、会津若松市で開催された「第九」初演100周年記念演奏会の特別企画として、双方に運航されました。福島からのチャーター便には64名の方々が参加され、「第九」初演100周年記念演奏会をはじめ、阿波踊りや観潮船での鳴門の渦潮、四国八十八ヶ所霊場など、2泊3日の徳島観光を満喫いただきました。一方、徳島からのチャーター便は、「第九」を歌う会の会員の皆様をはじめとする徳島県の方々にご利用いただき、福島観光をお楽しみいただきました。
第九が繋ぐ両県のご縁。それをFDAがチャーター便というかたちでダイレクトに地域と地域を繋ぐお手伝いをさせていただいていることを大変うれしく思っております。

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